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9.漢字の書き順は必要か?①

小学校に入学すると間もなく漢字の学習が始まります。
保護者の皆様も、かつて漢字練習ノートに毎日漢字を書いていく宿題を課されていたのではないでしょうか。
文部科学省によるGIGAスクール構想も始まっていますが、そんな現代においても、漢字の学習は地道な書き取りが中心で進められています。

具体的な漢字練習の方法については、担任の先生によって差がありますが、新出漢字の音訓読みや書き順、熟語や短文作りなどが中心となっているのが通例です。
お子さんにしてみれば、だんだん面倒になる漢字練習かもしれませんが、小学1・2年生のうちは、いい書き癖をつけるうえでも、コンスタントに漢字を書いていくことは必要なことのように思います。

そこで、今回のテーマはそんな漢字練習の際に必ず触れるものの、どこまで正確に書いていけば良いかという点で賛否が分かれる書き順についてお伝えしていきます。

そもそも「書き順」とは、昭和33年に文部科学省(当時の文部省)が「学習の指導をする際に混乱を来さないために筆順をできるだけ統一する」目的をもって作成したものです。
そして、当時の文部省「筆順指導の手引き」によると、
「筆順は学習指導上に混乱を来さないようにという配慮から定められたものであって、そのことは、ここに取り上げなかった筆順についても、これを誤りとするものでもなく、また否定しようとするものでもない。」とされています。
つまり、小学校で習う漢字の書き順は、学習指導をする上で必要なものであって、どんな書き順で書いても間違いになることはないという解釈でいいのかと思います。

ところが、昨今のPC・スマートフォンの進化により、現代の子どもたちは手書き文字よりも印刷文字に触れる機会が圧倒的に増えました。それにより、書き順だけでなく、字体や字形、とめ・はね・はらいの正誤などがややこしくなってきたため、平成28年に文化庁より「常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)について」という報道発表がありました。
それによると、
①手書き文字と印刷文字の表し方には、習慣の違いがあり、一方だけが正しいのではない。
②字の細部に違いがあっても、その漢字の骨組みが同じであれば、誤っているとはみなされない。
ということが明言されました。
つまり、漢字の書き順どころか、「とめ・はね・はらい」についても細かなところは問われないというのが最近の流れになってきています。