高校無償化②
- プラザくん
- 4月17日
- 読了時間: 4分
前回は高校無償化の大きなポイントとして,所得制限の撤廃と私立高校への支援拡充の2点について解説をしました。
今回は高校無償化による影響・懸念事項について考えてみたいと思います。
まずは先行事例として,大阪と東京の高校無償化について簡単にまとめてみましょう。
大阪の高校無償化
【対象】
大阪府内の公立・私立高校、高等専門学校に通う生徒
大阪府から他府県の高校に通う生徒
【進捗】
2024年度…高校3年生から実質授業料無償化がスタート
2025年度…高校2年生時から所得や子どもの人数にかかわらず授業料負担がなくなる
2026年度…全学年で所得額に関わらず無償化
大阪府の高校授業料無償化制度の詳細
東京の高校無償化
東京都では2024年度より,私立高校においても実質授業料無償化が始まっています。
所得制限による国の就学支援金での不足分を都の授業料軽減助成金で補うことによって,保護者の経済状況に関係なく授業料の実質無償化を実現しているようです。

大都市の大阪と東京だからこそできる施策という感は否めませんが,2025年度からは全国的な施策として高校授業料無償化が始まりますので,千葉県においても懸念されている公立離れの加速について触れておこうと思います。
すでにこちらのブログでもお伝えしておりますが,公立王国千葉県においても 公立高校離れ は始まっていますが,今回の私立高校も含めた授業料の無償化はさらにその動きを後押しするものとなりそうです。
ちなみに,令和7年度入試(2025年4月入学)における大阪と東京では公立離れが鮮明になっていますので,大阪・東京ともに同じ授業料無償化なら,私立高校に生徒が流れるのは必然のことのようです。
【大阪】
府立高校の受験倍率…1.02倍(過去最低)
府立高校の定員割れ…65校/128校中(約51%)
私立高校第一志望…35.04%(過去最高)
【東京】
都立高校応募倍率…1.29倍(過去最低)
都立高校受験倍率…1.20倍(過去2番目の低さ)
都立高校の定員割れ…62校/167校中(約37%)

【学校経営をする私立高校】
私立高校では学校経営という現実がどうしてもついて回ります。
補助金などの支援はあったとしても,魅力ある学校づくりを継続していかないと生徒が集まりません。
生徒が集まらなければ学校自体を維持・運営していくことが出来ませんので,あらゆる面において独自の創意工夫をしているのが通例です。
ですから,進学実績1つを取ってみても,
①大学合格実績を高める
②現役合格率を高める
③大学推薦枠を拡充していく
など,私立ならではの取り組みを切磋琢磨し続けていますし,目的達成のために土曜日授業や長期休業期間の補習なども行っています。
施設面においても,
①冷暖房設備や快適な環境の整備
②ICT教育インフラの充実・実践
③学食・図書館・人工芝グラウンド…
など,学費がかかる分充実した環境を整えています。
上記の点だけ比較してみても多くの公立高校はなかなか太刀打ちできないのが現状だと思いますから,千葉県においてもおそらく公立離れの流れは止まらないのではないかと予想されます。
では,受験者全員が私立高校を目指せばいいかというと,そう簡単な話でもありません。
なぜなら,私立高校にも当然定員枠があり,少子化が加速度的に進んでいる以上,校舎を増設してまで定員を拡充していくことは現実的ではないからです。
また,もともと千葉県は公立高校に比べて私立高校の数が多くありませんので受け皿が足りません。
ここまで見てみると,高校授業料無償化というのは手放しで喜べる施策という単純なものでもなさそうに思われますがいかがでしょうか。
依然公立高校が強い千葉県においては,今までよりも高校選びがややこしくなってしまう可能性もあるような気がします。
今回は「高校無償化」が与える影響について解説しました。
次回は「高校無償化」によって千葉県の高校受験がどのようになっていくかという点について,教育プラザなりの考えをお伝えできればと思います。