親管理より自己管理
- プラザくん
- 6月12日
- 読了時間: 6分
前回は中学受験でよく言われる能力やセンスの必要性についてお伝えしましたが,今回は一見中学受験学習には関係ないようで,実はとても関係がある自己管理力について,親管理より自己管理という教育プラザなりの見解を述べていきます。
何気なく見かける違和感
教育プラザでは小学生の親子参加型イベントを定期的に行っていますが,ここ数年何となく違和感を感じていることがあり,先日他のスタッフに確認してみたことがあります。
もしかすると,自分の思い過ごしでただの勘違いという可能性もあるかと思っていたのですが,実は他のスタッフも同じようにずっと気になっていたということを聞き,”やっぱりそうだったか!”と実感しました。
それは,出入り口での靴の履き替え時の様子でした。
こちらでは入り口で室内履きに履き替えていただくため,イベント時などはエントランスで履き替え渋滞が起こることがよくあります。
そのこと自体は申し訳ないのですが,小学校低学年を中心に,履き替え渋滞が起こった時の保護者様とお子様の関係性が以前とは明らかに違うように感じられることが増えています。
昔からデータを取ってきた訳ではないので,あくまで経験値という感覚的なものですが,この感覚は私以外のスタッフも感じていたようですから,おそらく年々変わりつつある状況なのだと思います。
以前から,「混雑しちゃうから早く靴袋に入れなさい。」と言って袋を差し出したり,靴を入れたりされる保護者の方はいらっしゃいました。
そこには,他の方々に迷惑がかかるからという配慮が見え隠れしていたように思いますし,お子様が低学年ということを考えると分からなくもない状況でした。
しかし,最近は混雑もしていないし,お子様も困っていないのに,保護者の方が靴を揃えてあげたり出し入れされたりする光景が珍しくなく,お子様の方も保護者様が用意されるのをただ待っている状態が増えているように感じられます。
その時にお子様から「ありがとう!」の一言でもあればさほど気にすることはないのかもしれませんが,何も言わずに,さもそれが当たり前のこと,いつものことのようにしている姿を見てしまうと,少なからず違和感を覚えてしまいます。
余計なお世話かもしれませんが,”この子は小学校高学年になったらどうなるんだろう”とか,”中学生になる時に大丈夫だろうか”と心配になってきます。
古い考え方かもしれませんが,小学生なのに赤ん坊扱いをしているように見えてしまう危うさのようなものが,こちらが感じる違和感の正体なのかもしれません。

中学受験は誰の受験?
いつからこうなってしまったのかは分かりませんが,“中学受験は親の受験”というのが周知のものとなっています。
特に大手の受験塾になればなるほど,保護者負担が大きいのが当たり前というのが中学受験の常識と考えられているようですが,教育プラザとしては断固として ”NO!” と言い続けてきた背景もあり,”中学受験は親の受験”という認識にはやはり違和感を覚えてしまいます。
親御さんからすれば,ただでさえ大変な中学受験の学習を手伝ってあげないとやっていけないというお考えがあるのは理解できるのですが,何でもかんでも保護者の方が先回りして計画・管理してしまうことはあまり得策ではないと考えています。
少なくともお子様自身の課題として中学受験の学習に取り組んでいかないと,最初から最後までつきっきりという状態が受験後まで続くことになりかねません。
そして,中学受験の学習を進めていくうえで大切なのが,自主的に学ぼうとする意欲です。
こればかりはご本人だけが持っているもので,誰かが教えてあげたり与えてあげたりするものではありません。
では,その意欲はどうやったら育まれていくのか?
身の回りの世話を保護者の方が整えてあげて,勉強に専念できる環境におくことで自主性は育つのか,それとも自分のことは自分でやるように仕向けていくことで自主性が芽生えてくるのか,周囲の大人が一度立ち止まってお子様の今と数年先を俯瞰してあげる余裕が持てるといいような気がします。
本当に自己管理できるのか
これから中学受験を始めよう,あるいは,今からでも軌道修正していこうとするのであれば,やはり受験はご本人の意志でやってもらう方が,後々お子様のためにもご家庭のためにもいいと考えています。
保護者の方からすればいつまで経っても子どもは子どもという風にしか映らないかもしれませんが,実はお子様の自己管理力は大人が思う以上に逞しい部分があるものです。
特に思春期を迎える前の純粋な小学生であれば,結果がうまくいったかどうかではなく,自分でやろうとしている姿を認めてあげたり応援したりすることで自主性はぐんと伸びてくる可能性を秘めています。
最初は危なっかしく見えてついつい口出ししてしまう気持ちも分かりますが,身の回りの当たり前のことから自分でできるようにしていくことを強くお勧めします。
中学受験学習は親管理より自己管理
中学受験の学習目標は一緒に考えるとしても,実際に勉強するのはお子様,そしてチェック作業は保護者様というようにうまく役割分担しながら,受験学習を進めていくことが本来の理想的な姿だと思います。
ただ,お子様にも個人差があり,ご家庭ごとに状況は異なるでしょうから,そう簡単に理想通りという訳にはいかないでしょうが,それでも中学受験学習を進めていくためには,どうしても自己管理力が必要だと感じることが最近殊に増えてきました。
例えば,中学受験算数でいつ答えにたどり着けるか先が見えない問題にぶつかった時に,自分の力で乗り越えていけるかどうか,大人が読むような国語の長文読解にめげずに取り組んでいけるかどうかなど,とにかく自分の力をフル活用しないといけない場面は必ず訪れます。
ですから,中学受験で困難な場面にぶつかった時に,自分のことは自分で何とかするという力を持っている方の方が有利に働くことが多いのではないでしょうか。
逆を言うと,お膳立てをしてあげないと動けない方は,いずれ中学受験学習が厳しくなってくるように思います。
小学校の毎日の身支度,宿題の進捗管理,忘れ物をしない,提出物を出す……など,自分のことは自分でできるようにするチャンスは毎日たくさんあるはずですから,今一度お子様の状況を振り返ってみるのもいいかもしれません。
最終的には自分自身の受験として中学受験に臨ませたいのであれば,身の回りの当たり前のことは自分でできて当たり前という一見勉強に直結しないようなことも,実はとても重要です。
自己管理力が高い人ほど勉強面でも効率がいいですし,困難な場面でも何とかしようという力を発揮しやすいのは何となく想像がつきますよね。
少なくとも,自己管理力が育まれていくことと,自主的な学習意欲が芽生えてくることには,ある程度の相関関係があるように思います。
その意味で中学受験は『親管理より自己管理』というのが教育プラザなりの見解です。
これから中学受験学習を始める方も,すでに中学受験学習を始めている方も,今一度お子様自身ができることに手を貸しすぎていないか振り返るきっかけにしていただけたらと思います。