前回の「デジタル教科書の未来①」ではデジタル教科書の導入と今後の懸念などについてお伝えしました。
今回から2回に分けて,デジタル教科書や連動するGIGAタブレットを使い始めてからの意見・感想などを,大人目線と子ども目線に分けて見ていきたいと思います。
まずは,大人目線のデジタル教科書の成果・評価ですが,こちらは2024年3月26日に文部科学省から公表された「大規模アンケート調査等の実施による学習者用デジタル教科書の効果・影響等の把握・分析等に関する実証研究事業成果報告書」のデータを参考に見ていきます。
大人目線‼ デジタル教科書の成果・評価
文部科学省 大規模アンケート調査のテーマ別分析結果(教師)から
【調査対象者】
令和5年度「学習者用デジタル教科書の効果・影響等に関する実証研究事業」または令和5年度「学びの保障・充実のための学習者用デジタル教科書実証事業」に参加いただいた小学校・中学校・特別支援学校に属する教師。
【回答期間】
令和5年11月20日~令和6年1月25日(未回答者への督促期間を含む。)
分析②-1 デジタル教科書による授業負担の影響(教師)

分析③-1 デジタル教科書の場面別の使用感(教師)

教師向け調査における分析結果総括(文部科学省)
〇デジタル教科書により,授業中や授業後に比べ,授業準備の負担が軽減したと感じている教師が多い。
〇デジタル教科書は,写真やイラスト・図表など視覚的に確認させるのに適しているが,その他の項目では「どちらも同じくらい」が30%以上を占めており,デジタル教科書と紙の教科書の優位性に大きな差は見られない。
大人目線‼ デジタル教科書の成果・評価
文部科学省 大規模アンケート調査のテーマ別分析結果(小・中学生)から
【調査対象者】
令和5年度「学習者用デジタル教科書の効果・影響等に関する実証研究事業」または令和5年度「学びの保障・充実のための学習者用デジタル教科書実証事業」に参加いただいた小学校・特別支援学校小学部・中学校・特別支援学校中学部・に属する中学年児童(3,4年生),高学年児童(5,6年生),中学生(1,2,3年生)。
【回答期間】
令和5年11月20日~令和6年1月25日(未回答者への督促期間を含む。)
分析⑤-1 児童・生徒によるデジタル教科書の使用感(小・中学生)


児童生徒向け調査における分析結果総括(文部科学省)
デジタル教科書は,「いろいろな情報を集めやすい」・「図や写真が見やすい」・「一度のいろいろな資料を見て比べやすい」という点で優位性がある。
紙の教科書は,「書き込みやすい」・「自分の学んだことを残しやすい」という点で優位性がある。
児童生徒向け調査における分析結果から見えること(教育プラザの見解)
定期テストがある中学生は,教科書を使う頻度が小学生よりも多く,問題演習用に使ったり,調べる・確認するなどの作業に使ったりするため,書き込みや学習の跡を残すのであれば,紙の教科書の方が実用的に感じているのではないでしょうか。
実用性という面において,デジタル教科書は「見るもの・調べるもの」,「書く・消す・残す」などの勉強用には紙の教科書という位置づけなのかもしれませんね。
今回は大人目線のデジタル教科書の成果・評価について,文部科学省の大規模アンケート調査結果からデータを抽出してお届けしました。
次回は子ども目線のデジタル教科書の成果・評価についてお伝えしていきます。