中学受験に必要な能力やセンス
- プラザくん
- 5月29日
- 読了時間: 5分
中学受験をお考えのご家庭にとって,四谷大塚全国統一小学生テストは毎年の恒例行事となっていますでしょうか。
私ども教育プラザでは全統小の前身である四谷大塚学力測定テストから数えて早28年目の開催となり,中学受験に長らく携わってきたことを改めて感慨深く思ったりもします。
そんな折,中学受験で成功する親子関係についてあれこれ思案している中で,教育プラザなりに積み重ねてきた
”中学受験で成功するためのエッセンス” のようなものをご提案出来たらと考えた次第です。
おそらく何回かに分けてお届けすることとなりますが,まずは『中学受験に必要な能力やセンス』というテーマで教育プラザなりの考えに触れていきたいと思います。

中学受験に必要な能力
保護者のみなさんは,実際の中学入試問題をご覧になったことはございますでしょうか?
保護者の方が中学受験ご経験者であれば中学入試問題も想像できるでしょうが,中学受験未経験ということであれば,「百聞は一見に如かず」ということで,まずは入試問題を手に取ってみるのが一番説得力があるのではないかと思います。
どの教科もそれなりの見ごたえ・手ごたえがありますが,一番分かりやすいのはおそらく算数でしょう。
まだマイナスの計算や方程式を習っていない小学生が,線分図や表などを駆使して文章題を解いていきます。
ぜひみなさんも x や y を使わずに文章題にチャレンジしてみてください。
また,図形も難解なものが多いですし,規則性や場合の数も面倒なものばかりですから,小学生がどうやって答えを導いていくか想像がつかないという問題が並んでいることと思います。
小学生たちはみな,方程式や三平方の定理を使わずに答えを導いていく訳ですから,”それなりの解法”を身につけていないと太刀打ちできません。
その”それなりの解法”というのが,”中学受験専門塾による特殊な指導の必要性”ということになるのかと思います。
中学受験に必要なセンス
特に理数教科を苦にしているお子様を持つ保護者様から,
「図形のセンスがない!」
「ヒラメキが出てこない!」
と言ったご意見を耳にすることがよくあります。
また,
「基本はいいけれど応用がきかない!」
「何度もやったはずなのに解き方を忘れてしまう!」
というお声もしばしば聞かれます。
実はこれらのご意見にはある共通の問題点があるように思います。
そもそも中学受験で,能力・センスがないと手が出ないという問題は,ごく一部の最難関校を除けばあまりありませんし,ひらめきというのは突然天から解法が降臨してくるものではなく,身につけたことを再現できるかどうか,もっと言えば頭の中から引っ張ってこれるかどうかという要素が関係している状態です。
応用がきかないと一言で言っても,応用問題にもいくつかの種類とレベルがあります。
例えば算数を例にとると,
①数字や条件がややこしくて処理しづらい問題
②いくつかの段階を超えていかないと答えにたどり着けない問題
③見たこともないような出題に戸惑う問題 など…
①であれば計算力や条件処理力を高める練習を増やすことで対応できるでしょうし,②は基本的な考え方や原理を深く理解しているかどうかが重要になってきます。
大変なのは③ですが,これはいろんなタイプの問題に触れ,過去問題などのレベルで練習を積み重ねることによって,どの引き出しを開ければよいかが分かるようにしておき,初見の問題を処理する力を高めておくことで対応することになるでしょう。
何度もやったはずなのに解き方を忘れてしまうのは,そもそも理解不足のまま解法を丸暗記している可能性が高く,数をこなした表面的なパターン認識で勝負している方が多いような気がします。
もしかすると,量をこなす以前に ”どうしてそうなったか” をお子様に説明してもらう方が理解が深まるかもしれません。
つまり,一見能力やセンスが影響しているように見える問題も1つずつ原因をたどっていくとそうではないことが多いという気がします。
各中学校の合格点は概ねどの教科も60%~70%ですから,確実に得点できる基本的な領域を増やしながらレベルアップをしていくのが現実的であるといえます。
能力・センスを問う出題もありますが,実際はその問題で合否が決まることは稀で,取るべき問題を取り切れているかどうかの方が重要です。
能力・センスよりも『適性』
我々が普段保護者様に申し上げているのは,中学受験に必要な力は,特別な能力やセンスといった先天的な素養よりも,小学校の学習内容とはかけ離れた受験学習をそつなく継続していける『適性』の方が重要であるということです。
基本的なことはコツコツ積み上げ,揺るぎない土台を作り上げておかないと,入試問題で必要となる応用力が上乗せしていけないからです。
国語が得意なお子さんは漢字や知識を疎かにしていないことが多いです。
計算ドリルを丁寧にやっている人ほど計算ミスが少ないものです。
用語や知識を後回しにしても,理科や社会で高得点を取ることはできません。
能力は申し分ない,センスは素晴らしい,けれども宿題や家庭学習はムラがあったりあまりやらなかったりというのでは,結局のところ本格的な受験学習には対応していけなくなることが目に見えています。
中学受験で成功する人は,”誰も解けない問題が解ける” とか ”誰よりも速くできる” という能力・センス型よりも,”誰もができる問題をしっかり得点できる人” のような気がします。
その意味で中学受験は『能力・センスよりも適性』というのが教育プラザなりの見解です。
すでに中学受験学習を始めている方は今一度,お子様の状況を確かめてみてもいいかもしれませんね。