「3年生までにやっておきたい〇〇」シリーズの第4回は「式と直し」をテーマにお届けします。
前回、算数の文章題についてお伝えしましたので、今回は算数の問題で式を書くことと直すことの重要性について考えてみようと思います。
小学校のテストなどでは、(しき)⇒(こたえ)という欄が予め設けられていることが一般的ですよね。
お子さんたちも、テスト用紙に(しき)という欄があれば、迷わずに式を書いているものと思います。
では、宿題のプリントや問題集などで(しき)と書いていない場合でも、きちんと途中式を書けていいるかと問われたらいかがでしょうか?
もしかすると、式を書くよりも暗算でやったほうが速いとか、式を書くのが面倒くさいというようなお声もあるのではないでしょうか?
低学年の内は、途中式を書いても書かなくても答えにたどり着けることもあるでしょうから、間違い直しを初めからやり直してもさほどの労力にはならないかもしれません。
ですから、わざわざ式を書く必要性を感じないまま過ごされているお子さんも少なからずいらっしゃるでしょうし、中には言われたら渋々式を書くという場面も想像できます。
実は、小学校高学年になってからも式を書かずに算数の問題を解いているお子さんは珍しくありません。
そのお子さんたちの特徴を見てみると、頭の中で計算が先に進んでしまい、式を後から書くのが煩わしいという方か、できるできないは別として、面倒だから書かないかのいずれかに当てはまることが多いようです。
試しに「式を書いてごらん」と声をかけると、筆算を書き始めるお子さんもいらっしゃいます。
「それは式じゃないよ」と言っても、初めの内はなかなか式を書く必要性を感じてもらえないこともよくあります。
【 式と筆算は別物 】
まずは、式と筆算は別物であることを確認しておきましょう。
途中式…答えにたどり着くまでのプロセスを表したもの
筆算…計算をするときに使うもの
筆算だけでプロセスが表現できればいいのですが、残念ながら筆算だけでは採点者にプロセスが伝わりません。
最近の中学入試問題では算数でも途中式や考え方を書かせることが珍しくありませんので、筆算だけで通用しないのは言うまでもなく、線分図や表を駆使しながらプロセスを書いて採点してもらう必要性が高まっていることを把握しておきましょう。
【 途中式を書くメリット 】
①答えにたどり着くまでのプロセスが見える化される
②途中で戻ったり、後から間違い直しをするときに、初めから全部やり直す必要がない
式を書かずに問題を解いているお子さんは、プロセスを書く重要性を知らないだけでなく、式を書くことのメリットも知らないままでいる可能性が高いです。
それは、筆算だけを書いて問題を解いているお子さんにも共通して言えることです。
いずれ算数から数学へと進化していくときには、筋道立てて論理的に組み立てていくうえでも、途中式を書くことは重要になってきますが、小学生の算数であれば上記2点だけでも十分なメリットかと思います。
ですので、できれば低学年の内から、答えが見えていても式を書くのが当たり前という習慣をつけておくことはいずれ本人にプラスになるでしょうし、式は自分のためだけでなく、採点してくれる人のために書いているという意識を持つことも大切です。
特に、将来的に中学受験を見据えていらっしゃるのであれば、途中式を書くのは必須と心得ておいて間違いはないかと思います。
【 おススメの間違い直し 】
①途中式の中で間違いを見つける
②間違えたところから直し始める
小学生によくあることですが、間違い直しとなった瞬間に式も筆算も全部消してからやる方がいらっしゃいます。
気持ち的には、最初からやり直さなくてはと前向きに捉えているのか、自分の間違った足跡を消してしまいたいと思っているのかは分かりませんが、「せっかく式や筆算を書いてやったんだから、消さないで直したほうがいいよ」という声かけをするように心がけています。
仮に、とっかかりの部分から見当違いなことをしているような場合でも、式や筆算を消す必要は全くありません。
むしろ、自分の見当違いを残しておくこと方が、後々本人にとってプラスになることは多いように思います。
なぜなら、算数の間違いというのは、お子さんによって、単元によっていろんな要素があるからです。
そして、間違いの原因は途中式や筆算を見れば見つかることがほとんどだからです。
「理解不足の間違いは式に表れ、計算間違いは筆算に表れる」
日頃からお子さんたちのノートチェックをしていると、お子さんたちがどこで間違えているのかがよく分かります。
そして、お子さんによってその原因や傾向はまちまちであることが多いのも確かです。
ですから、間違い直しの指示を出すときにも、
「ここまでは合ってるから、ここから先で間違いを見つけてごらん」
「式は合ってるけど、計算間違いをしているから、自分の筆算の中から間違いを見つけてごらん」
というように声かけをしていくと、途中式や筆算を分かりやすく書いておいて良かったという実感を持ってもらいやすいのではないかと考えて指導しています。
もし、途中式や筆算が書いてないと、間違い直しは一から始めなければなりませんので、結果的に直すことの労力が大幅に増えることになります。
ちなみに、算数は自分の間違いに気づき、間違いを直すことで力が伸びていく教科です。
やみくもに量をこなすよりも、丁寧にやり、直し切ることの方が定着につながる教科とも言えます。
その意味でも、途中式を丁寧に書いてやること、筆算も丁寧に書き並べていくことを低学年の内から当たり前のこととしてできるようにしておくと、将来的にお子さんにとっての大きな財産になるのではないかと思います。
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