top of page

30.「怒る」と「叱る」①

だんだん日が短くなり、お子さんたちのお家時間が徐々に増えてくる頃ですね。

また、秋から冬にかけては祝日もあり、ご家族で過ごされる機会も多くなってくることと思います。

いつも穏やかに、笑顔が絶えないご家庭というのは理想ではありますが、お子さんと接する機会が増えるのと同時に保護者の方のストレスも増えてしまうなんてこともあるかもしれません…

日常の些細なことで、何度注意しても同じことを繰り返したり、予期せぬことであたふたさせられたりといったことが続くと、どうしても厳しく言いたくなってしまう気持ちも分からなくはありません。

そんな時、保護者の方がついカッとなってきつく注意しても、心を落ち着けて冷静に優しく諭してみても、お子さんからすると「怒られた」としか受け止めていないことが多々あります。

保護者の方からすると、感情的になって言葉を発した場合は仕方ないにせよ、優しく言っているつもりなのに「怒られた」と言われたら、それこそ怒りたくなっちゃいますよね…

俗に言う親の心子知らずというやつで、感情的に発した一言も、やさしく伝えた指摘や助言・指示もお子さんからすれば、「怒られた」としか捉えられていない場合が結構多いのではないでしょうか。

そこで、今回から「怒る」ことと「叱る」ことについて、大人目線と子ども目線に分けて、紹介していこうと思います。


大人目線の「怒る」と「叱る」に違い

「怒る」というのは、自分の不快や不満を相手に伝える強い感情表現と言い換えることができるかと思います。

別の言い方をすれば、お子さんの言動などに対して、感情的に反応してしまうのが「怒る」ということです。

では、「叱る」はどうかというと、相手の行動や言動に対して指摘や注意をすることで、誤りを正してほしいための行動とも言えます。

言い換えれば、お子さんの行動に対して、何かしらの問題点や改善点を正してもらうために行う教えのようなものと言えるかもしれません。

私どもは長年、学習塾で小中学生を相手しておりますが、「叱ってもいいけど怒ってはダメ」という意識を持ってお子さんたちに接するようにしています。

同時に、「叱った後の着地点までを想定して叱ること」ができるように、チーム内で連携しながら生徒対応をするようにも心がけています(いつも思い通りにいく訳ではありませんが…)。

つまり、私どもが普段心がけている「叱る」という行為はあくまで芝居半分で、「本気で怒っているぞ」と見せながらも、気づきを与えられるようにするということが重要となってきます。

そうは言いつつも、毎日お子さんと顔を合わせていれば、そんなに仏心ばかりで接していられないというお声もあるかと思いますので、お子さんの「怒り方」・「叱り方」については、次回以降お伝えしたいと思います。


子ども目線の「怒られる」と「叱られる」の違い

冒頭でも述べましたが、お子さんが保護者の方の意図を汲み取って、「自分のために心を鬼にして叱ってくれたんだ」なんて捉えることはほぼあり得ないかと思います。

どんな言い方であれ、どんな表情であれ、お子さんにしてみれば「怒られた」としか捉えてもらえないのが悲しいところではあります…

ただし、お子さんたちもまるっきり何も区別がついていないかというとそうでもなくて、厳密に言えば「怒られる」ことと「叱られる」ことの区別がうまく表現できないという面があるかと思います。

保護者の方が感情的になっていれば「怒られた」と感じるでしょうが、冷静に自分の落ち度を指摘されても「叱ってもらったことによって、自分が成長できる」とは受け止めていないという方が、お子さんの感覚に近いかもしれません。

要はお子さんの中にまだ「叱る」とか「叱られる」という考え方がしっかりと存在していないと言った方が分かりやすいでしょうか。

お子さん自身も誰かに対して「怒る」ことはあっても「叱る」ことってあまりありませんよね。

仮に、自分よりも年下の子に対してとか、ペットやその他動植物に対してなど、お子さんが「こうした方がいいよ」とか「こうしちゃダメだよ」と優しく指摘できるような場面があったら、ぜひ大いに褒めてあげてください

その時には「上手に教えてあげたね」とか「優しく注意できたね」と言ってあげると、いずれ「叱る」という行為が「怒る」こととは違うということが理解していけるのではないかと思います。

お子さん自身が「叱る」ことを身を持って体験することで、保護者の方の「怒る」と「叱る」の区別がつけられるようになってきたら、言うことありませんよね。

今回は「怒る」と「叱る」の違いについて述べました。
次回は、それでもどうして何度注意しても同じことを繰り返すのかといったことについて触れていきたいと思います。
閲覧数:10回
bottom of page