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38. 3年生までにやっておきたい長文読解

中学受験の学習が本格化してくると、いろんな教科の課題が表面化してきます。

四谷大塚のカリキュラムでも、5週ごとにテストを実施する訳ですから、ほぼ毎月お子さんの学力状況を目にすることとなります。

当然ながら、中学受験の学習を進めていく中で、何も課題が見つからないまま受験される方は皆無でして、皆さん何かしらのつまずきを感じながら中学受験の学習を進めていかなければなりません。

本当ならもう少し時間をかけて…とか、○○をまとめてやり直したい…など、お子さんの理解度やその時々の状況に応じて臨機応変に学習していければ理想的ですよね。

ただ、おそらくどこの中学受験塾でも、カリキュラムに足踏みをしている余裕はなく、通常は新出単元の学習を扱い、各期講習でまとめて復習をするというのが一般的なやり方だと思います。


そこで、今回から複数回にわたって最近の入試傾向から逆算した「3年生までにやっておきたい〇〇」シリーズを連載していこうと思います。


まず最初は、全教科の基本となる国語の中でも、最も配点比率が高く、個人差が出やすい長文読解についてお伝えしていきます。



【 国語の長文読解の課題 】

そもそも文章読解の何が課題かよく分からないし、課題を克服するための方策もよく分からない!



《そもそも長文読解の何が課題かよく分からない!》


例えば小学校低学年のころは、文章を読むのが得意かどうかは音読がスラスラできるかどうかといった表面的な部分で捉えがちです。

当然ですが、扱う文章も平易なものですし、内容自体もそれほど込み入ったものは扱えないのが実情ですから仕方がありません。


ですが、学年が上がるにつれて、文章もだんだん難しくなり、文章量も増えてくるのが一般的ですから、国語の点数が伸び悩んでいるとか、文章は読めているのに内容が理解できていないということに気づくのも徐々に傾向が見え始めるというのが厄介なところです。

他の教科であれば、単元ごとに課題が見つかり、その単元をやり直すこともできるでしょうが、国語の長文読解だけは、どこからやり直して、何をしていけばいいかが不明確なことが多いのではないでしょうか。

お子さん自身も文章を読むこと自体はできているでしょうから、なぜ正解にならないか、なぜ問題に答えられないかがよく分からないという状況がほとんどではないかと思います。


また、低学年の段階で「音読が得意(文章が読める)」ということと「文章の内容を読み取る」ということは別物ということに気づくことはなかなか難しいでしょうし、気づいたときにはすでに課題が表面化しているというのが長文読解なので、なかなかつかみどころがなくて難しいですよね。


低学年で音読が上手な方は、もともと文字に対する感覚が良かったり、小さいときから絵本や読書で文章に慣れ親しんだりという感覚や経験によって培われた力が、まわりのお子さんよりも秀でていると言えるかもしれません。

ただ、文字を読むことには長けていても、内容理解までできているかどうかは確認してみないと分からないのもまた事実だと思います。



《低学年からできる文章の内容を読み取る力のチェック方法》


①まずは音読がスラスラできるか   

まずは音読をチェックするのが第1段階です。

特に低学年の内は、語彙力や文字の認識にも個人差が大きくありますので、お子さんの状況によって、読み聞かせや一緒に読むことから始めるのも有効です。

少なくとも読めないものの内容が頭に入ってくることはあまりないのではないかと思います。


②音読した文章のあらすじが言えるか   

文字を追うだけの作業になっていないかどうかの確認が第2段階です。

音読を聞かせてもらったら本を閉じてもらい、「どんなお話だったか教えて?」と質問してあげるだけで十分です。仮に内容が把握できていないときには、「もう1回読んでから教えてくれる?」と働きかけてもいいかもしれません。

また、細部についてはあまり気にせず、「いつ・どこで・だれが・どうする」といった文章の骨組みに関することが把握できているかどうかを確認するようにしましょう。


③文章の中の登場人物たちはどう思っていたか   

文章を客観的に読むことができるかどうかが第3段階です。

以前のコラムでも書きましたが、「読書と読解は別物」ですから、文章を読んでお子さんがどう思ったかではなく、文章中の登場人物たちはどう思ったかを、客観的に把握することが大切です。

それら客観的な事実に対して、お子さんがどう思ったかを聞いてあげるのは、心の成長という観点からはとても大切なことですが、将来的に長文読解で試されるのは、「自分がどう思ったのかではなく、文章中にはどう書いてあるか」という客観的な視点を持って解答する力です。


読書であれば、お気に入りの物語を何日かかけて読み、自分の中であれこれ好きなように空想して物語の世界に入り込むこともできますが、長文読解で問われるのはまた別の要素ですから、ある程度割り切って読むことが必要となってきます。

ただし、誤解がないように申し上げておきますが、読書で本に慣れ親しんでおくことは、言葉を増やすことにもつながりますし、行間を読む力にも影響しますので、当然ながら大切なことです。

心の成長という観点からも、読書がとても有意義なことであるのは間違いありませんので、国語の得点のために読書をするかどうかとお考えにならないようにしていただければと思います。


3年生までにやっておきたいシリーズの①は長文読解でした。

次回は漢字や言葉の力について触れていきたいと思います。



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