前回まで2回に渡り、中学受験が本格化する小学4年生になるまでに準備しておきたいこととして
1 自分の好きなことに夢中になる経験
2 カバンの中は頭の中、机の上はプライオリティ
3 楽しいことは勝手にやる
4 課題があるから頑張れる
というようなことをお伝えしてきました。
今回からは、小学4年生以降の中学受験学習についてお伝えしていこうと思います。
【 小学4年生 】
○国語○
文章読解の基礎と基本的な知識事項を学ぶとき
以前のコラムでも書きましたが、読書と読解は別物ですので、中学受験の文章読解で要求される、初見の文章の読み取り方のコツを知り、数多くの文章に触れることが大切です。
お子さんによっては、文章による得意・不得意があったり、時間内に処理できなかったりということもあるかもしれませんが、4年生のうちはまだいろんなことに時間をかけていい時期だと割り切って、できることを増やしていくことが大切でしょう。
また、知識事項では、漢字の読み書きにとどまらず、慣用句・ことわざ・四字熟語やことばのきまり(文法)を浅く広くひと通り触れながら身につけていくことが重要です。
5年生以降で反復する際に、知っていることが多い方が当然得をしますので、知識は4年生のうちにできるだけ増やしておきましょう。
○算数○
典型的な特殊算の基礎と小学算数の計算を完成させるとき
中学受験のご経験がある方はご存じだと思いますが、小学校と同じ教科名でありながら一番内容が異なるのが受験算数です。
例えば、小学校でも中学校でも習うことがない特殊算だけでも、植木算・つるかめ算・差集め算・和差算・消去算・旅人算・流水算・通過算・相当算・時計算・仕事算……と続々と列挙できます。
また、図形の領域においても、単純な求積問題だけでなく、図形の平行移動・回転移動・転がり移動、図形上の点の移動やそのグラフ、立体を切断した体積や表面積など、中学生がやっても難しく感じるような問題が普通に出題されるのが受験算数です。
ですので、4年生の段階では受験算数特有の問題への理解と基礎の定着というのが最も重要です。
少なくとも、4年生の内容がそのまま出題されることはありませんので、目先の点数や結果よりも原理や考え方、アプローチ方法をしっかり身につけることの方が先々必要となります。
また、高度な内容を扱う上で、小学校で習う計算方法は4年生のうちにすべてマスターしておく必要がありますので、整数だけでなく、小数・分数の四則計算は4年生で習い終えることが通例です。
○理科○
4領域の代表的な単元に触れ、興味・関心を抱くとき
算数同様4年生の内容がそのまま入試問題になることはほとんどありませんので、まずは生物・地学・化学・物理の4領域すべてにおいて、5年生以降より詳しく触れることになる内容を浅く広く吸収することが大切です。
理科はどうしても領域によってやりやすい・やりにくいが分かれてしまいがちな教科ですから、ややもすると好き嫌いが出やすい教科でもあります。
例えば知識事項の多い植物・動物は好きだけど、計算が多い水溶液や電流はちょっと…という方もいれば、全く正反対の方もいらっしゃいます。
ですので、4年生のうちは、知識事項はできるだけ覚えるように心がけ、覚えるときには名前+色・形+特徴の3点セットで頭に入れることを意識して行いましょう。
また、計算を要する単元のときには、公式や求め方だけを覚えるのではなく、どうしてそうなるのか理解することを最優先していきましょう。
○社会○
日本についての特徴的な基礎知識を身につけるとき
小学校でも47都道府県を扱うように、中学受験の社会でも4年生は日本についての特徴を知り、使える情報として蓄えておくための1年間と捉えておくべきだと思います。
地名・地形・気候・特産物はもとより、農業・工業・水産業などの特徴もしっかりと押さえ、用語としての知識が地図や各種統計資料でも識別できるような「使える情報」にしておくことも大切です。
4年生のうちに、基本的な日本地理の特徴を知り、使いこなせるようになっておけばとても心強いですから、できれば用語は漢字で書けるようにしておくこともお勧めします。
今回は4年生の中学受験学習について触れました。
次回は5年生以降について述べたいと思います。