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執筆者の写真プラザくん

27.たしかな計算力③

今回は「計算間違いをなくす方法」についてお伝えしていきますが、そもそも「計算間違い」とはどのようにして起こるのかということについて考えてみたいと思います。


まず初めに、計算間違いと言っても大きく分けて2種類の要因があるかと思います。

要因A:計算の技能が足りていない間違い
要因B:性格的な要因による間違い

当然のことながら、計算間違いのタイプが異なれば対応も異なってくるはずですし、同じお子さんでもその時々の内容によって、どちらの間違いを起こしているのかを見定めて対応する必要があります。


要因A:計算の技能が足りていない間違い

単純に技能不足であれば、練習量を増やせば解決するような気もしますが、お子さんによってはそう簡単にはいかない場合が結構あります。

と言うのも、お子さん自身が自分の状況をうまく把握できないのと同時に、他の人に分かるように状況説明することもままならないことが多いからです。

特に低学年のお子さんの場合、大人目線で問題を見れば、なんてことはない計算に見えますが、子ども目線では全く異なって捉えているということがあります。

低学年のお子さんによくあるのが、数字の桁数が増えたり、新しい計算方法を習ったりしたときに、「今までとは違う」とか「同じようにできない」といったトラブルをかけてしまうことです。


1.桁数が増える時のトラブル  

時々見かけますが、実感を伴って処理できる数字の範囲を超えると、途端におかしなことが始まってしまうという方がいらっしゃいます。

例えば、20までの数なら平気なのに、それを超えるとものすごく時間がかかってしまうような場合がそれにあてはまります。

おそらくこのような時は、お子さんが頭の中で実際の数字をカウントしている可能性があります。

数字でカウントしている場合もあれば、おはじきや○に置き換えている場合もあるかもしれません。

当然ながら数が大きくなれば処理するのに手間取ってしまう訳です。

また、自分の処理できる範囲の数なら実感できるのに、それを超えるととにかく大きなものとして捉えてしまい、同じ数字としてイメージできなくなるという場合もあります。

ですから、桁数が増えて間違いが起こりやすくなるのは、お子さんが実感できる処理範囲を超えている可能性があるということを念頭に置きながら接していく必要があります。

大切なのは、お子さんが実感できる数字の範囲を把握して、それを少しずつ広げてあげることです。


※対処法:硬貨を使って数字の束をイメージできるようにする!
(例)1円5枚で5円玉、5円玉2枚で10円玉、10円玉5枚で50円玉…
 
というように、身近なものを使いながら数字の位取りの感覚を再確認し、処理できる数の範囲を広げていくのは効果的だと思います。
(もちろん、本物のお金ではなく、おもちゃのお金で十分です。)

同じ金額を作るのに、何通りかの硬貨の集め方を考えてみるのもいいでしょう。

日常の買い物の支払いをやらせてみるとか、できるだけ小銭が増えないお金の出し方を考えてみるなんてのもいいかもしれません。


2.新しい計算方法を習った時のトラブル  
※ここでは例として、低学年にありがちな筆算の繰り上がりや繰り下がりに注目してみます

普段であれば、10円玉が多くてお財布が重たいから100円玉に交換するとか、両替機に1000円札を入れたら、500円玉と100円玉5枚になって出てきたということに違和感を覚えることはあまりないかと思います。

ところが、これが筆算の繰り上がりや繰り下がり方法となると、全く別次元のことを扱うような感覚になってしまうお子さんがいらっしゃいます。

繰り上がりの1を上に書く理由がよく分からないまま真似をしようとして、繰り上がらない計算まで1を書き足してしまったり、繰り下がりの必要があるかどうかも判断しないで、とにかく繰り下げてから始めたりといった具合です。

このようなお子さんたちは、よく分からないけど先生の言う通りに真似をしている可能性があります。

将来的には、内容理解を飛ばして解法だけを暗記し、定着させるためにそれなりの問題量をこなして体で覚えるということにもなりかねません


※対処法:繰り上がり・繰り下がりの必要性を見極める!
まずはお子さんの状態をよく観察した上で、繰り上がり・繰り下がりの必要性を見極めることから始めるのが近道かもしれません。

筆算で、たして10を超えたら繰り上がり、ひく時に下が大きければ繰り下がりというのを、計算する前に見極めて、繰り上がり・繰り下がりがある番号に印をつけてから始めるようにしてみると次第に定着してくるのではないかと思います。


今回は「計算間違い」はどのようにして起こるのかということについて、その要因の1番目をお伝えしました。
次回は2番目の要因について触れていこうと思います。
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