top of page
執筆者の写真プラザくん

25.たしかな計算力①

算数ができる子のイメージとはどのようなものでしょうか?

「他の子よりも速く答えが出せる!」
「暗算で計算できる!」

というようなイメージを持っているお子さんは、低学年では特に多いと思います。

裏を返すと、計算に時間がかかったり、いちいち筆算を書いたりするお子さんは、だんだん周りとの比較の中で、自分は算数があまり得意じゃないかもしれないと思いこむこともあるようです。

まして、いつまでも指折り計算をしているのは恥ずかしいし、他の子に見られたくないと思っているお子さんも少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。
※指折り計算が問題ないことは「教プラコラム11・12」で解説しています!

では、少し長い目で見て、「速くできること」や「暗算でできること」などは、小学校高学年の算数や中学校の数学でどれほど大切な要素なのかということを少し深堀りしていこうと思いますが、初回は計算の速さについて。


①計算の速さ 

他の子よりも速く計算ができるのは、自分は算数が得意だという自信につながってくる要素になるかと思います。

そのために、そろばんや公文式などで先取り学習的にトレーニングを積み重ねておくというのは1つの方法だと思います。

では、ここで1つ質問です。

ある2人の小学2年生に、10分間で30問の計算問題を解いてもらいます。
Aさんは7分で全問解いて2問間違いの28点でした。
Bさんは時間が足りずに25問しか解けませんでしたが、全問正解の25点でした。
2人ともそれなりに学習に励みながら高学年になったとき、それぞれの計算力はどうなるでしょうか?



もちろん、いろんなお子さんがいらっしゃるので、一概に言えない部分はあるでしょうが、小学高学年以上のお子さんがいらっしゃるご家庭は、ある程度ご納得いただけるのではないかと思います。



往々にしてよくあるのが、Aさんの2問間違いはずっと続くいうものです。

少なくとも、Aさんの2問間違いを「計算ミス」・「ケアレスミス」というような「ミス」という認識でいる限り、なかなか改善は難しいような気がします。

なぜなら、Aさんは計算が昔から速く、苦手意識がないからです。
もう少し具体的に言うと、「ミスをしている自覚がなく間違えている」からとも言えます。

つまり、Aさんの2問間違いは、計算力の技能的な問題ではなく、性格的な要因が大きく影響していると考える方が現実的だということです。

では、時間切れのBさんはどうでしょうか?

おそらく時間が足りない状況はしばらく続くのではないかと思います。

ただし、Bさんの強みはなんと言っても正答率が高いこと
堅実な計算力と言い換えてもいいかもしれません。

実は中学受験の算数や高校受験の数学で重要なのは、速くできることよりも、できる問題を確実に得点することです。

ですから、計算速度は人並みで十分です。
(実際、受験期の小中学生には、正答率を高めるためのトレーニングを課しています。)

算数・数学で必要なのは、限られた時間の中で、解ける問題をどれだけ増やしていけるかということと、いかに正答率を高めていくかということに尽きると思います。

先ほどのたとえで言うなら、Aさんは最後まで計算間違いに苦労することが多いですし、Bさんは計算処理のトレーニングさえすれば、あまり心配なく受験期を迎えることができるような気がします。


《計算が速いお子さんによく見られる特徴》

①文章題で式を書かない。

一概に悪いことと決めつけるのはやや危険ですが、式を書く速度よりも頭の中での処理速度の方が速いため、いちいち式を書くのが面倒臭くなる傾向があります。
しかも、書こうと思えば書けるという自信もあることが多く、式を書く必要性を感じにくいというのも頷ける気がします。
ただし、中学受験の算数ではプロセスを組み立てるのに、式はもちろん様々な図や表を駆使しますので、面倒でも途中式を書く癖は低学年のうちに身につけておきたいことです。
また、最近では解答用紙に途中過程を記述させる形式も増えていますので要注意です。


②直しがあっと言う間に終わる。

もともと計算能力が低い訳でもなく、技能的な問題がある訳でもないので、採点後に直しをさせてもあっと言う間に終わることが多いです。
本人からしてみれば単なるミスとしか受け取れないでしょうから、なおさら1回目の正答率を上げようという必要性を感じにくいのかもしれません。

ただし、算数・数学という教科は、他の教科に比べても1問の配点が高いのが通例です。
単なる計算間違いも5点減点ということはザラにあります。
こちらでは常々、5点の問題をミスしたら、5点差がつくのではなく10点差がついたと考えるように伝えています。
なぜなら、自分のミスを取り戻すには、他の子ができない問題を5点分多く取らないと追いつけないからです。
言い換えると、より難易度が高い問題を正解しなければ追いつけないということです。

ここまでのところで、「計算の速さよりも正答率の高さが大事」ということが伝わっていれば良いのですが…


今回は「たしかな計算力」にたどり着くために、「計算の速さ」にスポットを当ててみました。
次回以降は「暗算でできること」や「計算間違いをなくす方法」などをお伝えしていこうと思います。
閲覧数:21回

Comments


bottom of page