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16.読書と読解は別物!②

前回は「読書と読解は別物!」というテーマで、読書量と文章読解力が必ずしも相関関係にある訳ではないというようなことをお伝えしました。
今回は、本との向き合い方とその傾向について述べていこうと思います。

読書といっても人それぞれいろんなスタイルがあります。
保護者の方々でも、感情移入できるような小説をよく読むのか、見識を広めるために専門書や自己啓発本を手にとるのか、あるいはその時々の思いつきで気になったものを読んでいるのかなど実に様々な読書スタイルをお持ちかと思います。
最近ではAudibleに代表されるような、耳で聞く読書という方法もありますので、実に千差万別です。

もしかすると、大人以上にお子さんたちの読書スタイルは多岐に渡っているかもしれません。
例えば、成長段階によって字の大きさも違えば、挿絵が入っているものもあるなど、本自体に子ども向けの工夫がされていることもあります。
また、自分で読むのか、読み聞かせてもらうのか、一緒に読み進めるのかなど、読み方自体もお子さんによっていろいろだと思います。

そして、保護者の方が意外と気づきにくいのが、お子さんが本の何に夢中になって、どこが印象に残っているのかということが把握できないところではないでしょうか
同時に、お子さんの好みが物語寄りなのか、科学的な内容の説明文寄りなのかによっても、本との向き合い方はまったく異なっていますし、読書から得られる効果も違ってくるのではないかと思います。

読書を通じてお子さんの中に起こっている変化はなかなか掴みづらいのが実情です。
おそらくお子さん自身も無意識のうちに、本を通して様々な刺激や経験をしているでしょうが、きっとうまく言葉にできない部分もあるはずです。

実は、読書量と文章読解力が単純な相関関係にならないのは、お子さんがどのようなジャンルの本に対して、どのように向き合っているかという点が大きく影響していると考えられます。

《実際に今まで接してきた小学生の例》

①動植物や地球・宇宙などの自然科学に関する本をたくさん読んできた
 ⇒症状A. 物語文の読解では何がポイントかが読み取れない
 ⇒症状B. 説明文の出来にムラがある

②お勧めの物語はほぼ読破し、少し背伸びしたものまで自分でスラスラ読んできた
 ⇒症状C. 説明文には興味が持てないので、内容が頭に入ってこない
 ⇒症状D. 物語文で登場人物の気持ちが想像できなかったりする

上記の症状A.~D.の中で、ある程度予測できるものとそうでないものが入り混じっているのはお分かりでしょうか。

例えば症状A.とC.ではお子さん自身の興味・関心に引っかかってこないことが一番大きな要因だと言えるでしょう。
別の言い方をすれば、物語文を自然科学のように事実や背景知識を結びつけて読んでいくことはできないでしょうし、説明文の中に登場人物の気持ちは書いてないのが通例です。
つまり、お子さん自身が好きで読んでいる本と読解で出てくる文章が全く違うタイプのものなのに、文章に応じた読み方ができていないということがいえます。

では、症状B.とD.はどのようなことが考えられるでしょうか。
症状B.では、お子さん自身の嗜好に合うか合わないかという好き嫌いの要素が強い可能性があります。
もしかすると、自分の興味がある特定のジャンルに限定されている方が多いかもしれません。

症状D.の方は一見すると理由が分かりにくいですが、もしかするとお子さん自身の読書に対する姿勢が関係しているかもしれません。
内容を深く読むことよりもたくさん読むことで褒めてもらえるのがうれしいとか、静かに文字を追っていることに満足しているなど、本の内容どうこうよりも読書という行為が好きという面がもしかするとあるかもしれません。

《お子さんが読書をされる際に心がけたいこと》

①物語を読んだときには、ストーリーを教えてもらう!
物語のあらすじや印象に残った場面などを教えてもらうことで、お子さんの中にある物語の記憶を呼び起こしたり、自分が知っていることを誰かに伝えることでより鮮明に思い出したりすることができるようになります。
  
②自然科学の本を読んだときには、内容を説明してもらう!
お子さんの興味がある分野の話を聞き出してあげることで、本人の得意なものを増やしていけるでしょうし、次への知的好奇心にもつながってくることがあります。

①・②のどちらにも共通しているのは、読書で得たものをアウトプットさせてあげるということです。
そして、お子さんの読書を話題として、会話する機会を多くつくったり、さらにその次へとつなげていったりできれば、表面上の読書から少し深いところにいけるかもしれません。

今回は、本との向き合い方とその傾向についてよくある典型的な例についてお伝えしました。
基本的には、お子さんが好きで読んでいるのであればそれが一番いいことなのですが、それがそのまま文章読解力につながらないのは何とも歯がゆい部分がありますよね…
次回は、文章読解で必要となる力について述べていきたいと思います。


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