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執筆者の写真プラザくん

3年生までに必要な「きちんと書く力」

朝晩の冷え込みが少しずつ秋から冬へと移り変わっていく10月下旬というのは、教育プラザの中学受験生たちが授業内で過去問演習を始める季節と重なります。

毎年のことですが、中学受験生たちの日々奮闘している姿を見るにつけ、いよいよ本格的な受験シーズンに突入したのだなと再認識させられています。


そんな6年生の過去問指導を行う中で、気になる点が顕在化しては改善する繰り返しではありますが、できれば本格的な中学受験が始まる前に身につけておけばよかったのになぁと思うことがいくつかありますので、その辺りを「3年生までに必要な〇〇」シリーズと銘打って数回に分けて解説していきます。


初回は3年生までに必要な「きちんと書く力」です。


タイトルだけを見れば漢字の読み書きを連想される方がいらっしゃるかと思いますが、もちろんそれも一部分ではあります。

しかし、中学受験生も過去問演習をやる時点では、「漢字の読み書きだけは丁寧に書く」ぐらいの芸当は身につけているのがほとんどです。

逆を言えば、漢字の読み書きすらままならないようではどこも受かりませんよね…。


3年生までに必要な「きちんと書く力」


「きちんと書く力」とは…?


ここでお伝えしたい「きちんと書く力」というのは、何も国語に限ったことではありません

算数の途中式や理科・社会の記述・作図なども含めて「きちんと書く力」と捉えていただければと思います。

それらがなぜ重要かというと、入試問題の変化というのがまず第一に挙げられるでしょう。


ご存じのように大学入試改革によって、大学入学共通テスト(旧センター試験)における文章量・試される語彙などが飛躍的に増加されています。

その結果、高校受験や中学受験においてもそれらの対応が必要とされ、入試問題が年々変化し続けているのです。


特に中学受験は、将来的な大学受験への対応に敏感で、受験トレンドの最先端と言っても過言ではありません。

例えば、算数で途中経過を書かせる出題や作図をしたうえで図形問題を解かせるなんていうのも珍しくありませんし、理科・社会に至っては、設問にたどり着くまでに問題文を2~3ページ読まないといけないなんてことも当たり前のように試されるのが今の中学受験問題です。


つまり、「きちんと書く力」の前提には、出題者の意図を「しっかりつかまえる」ということが含まれています



「きちんと書けないパターン」


「きちんと書けないパターン」として、いくつか具体例を挙げてみますが、もしお子さんがいくつか当てはまるようであれば、できるだけ低学年のうちに対応しておくことをお勧めします。


①出題の意図をくみ取れていない。

聞かれていることが掴めていないため、的外れな解答になってしまっていることがよく見られます。

特に国語で往々にしてあるのが、


「〇〇字以内で文章中の言葉を用いて表せ」

「〇〇字で文章中から書きぬきなさい」


といった出題に対して、内容よりも字数で答えを探してしまっているパターンです。

とかくありがちなのは、傍線部前後でちょうどいい字数のフレーズを探してしまうというケースですが、そもそも傍線部近くに答えがあるような出題なら、みなさん正解を導けるでしょうから、なかなか見つからないというのは出題の意図が掴めていない可能性を疑うべきかもしれません。


②キーワードや字数などの条件を無視して書いている。

必ず使わなければいけないキーワードや字数制限、あるいは解答の書き方の見本が示されていることがよくありますが、それらの条件を初めから気にしていないのか、考えているうちに忘れてしまうのかは別として、条件を無視して書いた答えはほぼ例外なく得点がもらえません


これは、もしかすると文章や記述といった机上の問題だけでなく、普段から相手の話を聞けないとか、その場の状況を読めないなどのコミュニケーションにおける懸念が見受けられることもありますので、言葉のキャッチボールを大切に行うことが必要かもしれません



また、理科や社会においては、


実験結果から考えられる原因と結果を書く

資料から読み取れる要因と実情を書く


というように、定番の書き方というのもありますから、テンプレートとして解答できるようしておいた方が無難な内容も多々あります。

いろんな知識や情報をインプットしたら他の誰かに分かるようにアウトプットするなど、インプットの時点でしっかりとアウトプットできるようにしておくと、とても効率的な学習になるのではないでしょうか。



③そもそも文章として成立していない……


これが一番厄介ですが、本人は書いているつもりでも相手にまったく伝わらないということが時々あります。

頭の中にあることを言葉にしようとしてそのまま書いてしまうとか、話し言葉で書いてしまうなど、他者に読んでもらうことを意識していない解答というのも珍しくありません。


改めて本人に読ませると、書いた本人もうまく飲みこめないなんてことがないように、自分が発した言葉や文を時々は検証してみるのも1つの手かもしれません


だいたい、このようなケースのお子さんには、普段のコミュニケーションから曖昧な表現が多いという共通点があります


「なんか、○○な感じ」

「なんとなく、△△みたいな」


というような曖昧表現でごまかし続けていると、いざという時に自分の意見をしっかりと述べられなくなってしまいますから、こと勉強に限っては自分の考えを相手に分かりやすく伝えるということを意識的に行う方がいずれお子さん自身のためになるような気がします。



我が子は大丈夫というご家庭が多いことを祈りつつも、時々はお子さんの様子を気にしてみるのもいいかもしれません。

なぜなら、今回取り上げたいくつもの例は、実際に改善しようと思うとなかなか手ごわくて時間を要するものばかりだからです。

ですから、できるだけいろんな状況に柔軟に対応できるうちに少しずつ改善しておくというのが、先々ご本人のためになるような気がします。

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