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小学英語の重要性②

前回は公立高校入試における英語の得点分布について、40点の壁を越えていけるかどうかには、大きく分けて「①語彙力」と「②英文法の基本ルールの定着」の2つの要素があるとお伝えしました。

今回は小学英語の重要性「②英文法の基本ルールの定着」ということについて述べていこうと思います。


小学英語の実情

はじめにいくつかの英文を紹介します。


 What do you have on Tuesdays?

 I have Japanese, math, science, and music.

 What subject do you like?

 I like arts and crafts.


 What would you like?

 I'd like spaghetti.

 How much is the spaghetti?

 It's 780 yen.


両方とも決して難しい会話文ではありませんが、これが小学5年生が学校で扱う教科書(開隆堂 Junior Sunshine 5より引用)の例文だとしたらいかがでしょうか。


 Where do you want to go?

 I want to go to India.

 Why?

 I want to eat curry.


 I went to my grandmother's house.

 I enjoyed swimming.

 It was fun.


こちらは小学6年生の教科書(開隆堂 Junior Sunshine 6)から引用しました。

すでに過去形や動名詞なども会話の一部に取り込まれています。


2020年度に全面実施された小学校英語改革では、小学3・4年生が「外国語活動」として必修化され、小学5・6年生が「外国語」として正式教科となりました。

その背景として、文部科学省では「今後の英語教育改善・充実方策について 報告〜グローバル化に対応した英語教育改革の五つの提言〜」の中で次のように述べています。


「グローバル化の進展の中、国際共通語である英語力の向上は日本の将来とって極めて重要である。」

「我が国の英語教育では、現行の学習指導要領を受けた進展も見られるが、特にコミュニケーション能力の育成について改善を加速化すべき課題も多い。」

「東京オリンピック・パラリンピックを迎える2020(平成32)年はもとより、現在、学校で学ぶ児童生徒が卒業後に社会で活躍するであろう2050(平成62)年頃には、我が国は、多文化・多言語・他民族の人たちが、協調と競争する国際的な環境の中にあることが予想され、そうした中で、国民一人一人が、様々な社会的・職業的な場面において、外国語を用いたコミュニケーションを行う機会が格段に増えることが想定される。」


確かにごもっともなご意見ではあるのですが、我々が小中学生の英語を指導している中で痛感しているのは、小中学校の英語が実用的な外国語の運用能力向上を目指して構成されているのに対して、高校受験の英語が結局は読み・書きを中心とした内容のままであるという矛盾です。


中学英語のはじまり

中学1年生の英語の教科書というと、保護者のみなさんはどのようなイメージをお持ちでしょうか。

せっかくなので、昔の記憶をたどりながら次の英文をご覧になってみてください。(開隆堂Sunshine English Course 1より引用)


 Can you swim?

 We practice at school in summer.

 We use the city pool in spring, fall, and winter.

 You can be a dolphin.


この例文は「小学校の英語を生かす」という教科書の冒頭に出てくる文章の一部です。

すでに助動詞canや一般動詞を知っているという前提で中学校英語が始まります。

またPROGRAM 1では次のような会話文が扱われます。


 Are you a new student?

 Yes, I am. I'm Emily. I'm in 1-B.

 I'm Ken. You are in my class!

 Oh, really? Great. I want to go to the gym.

 I see. Let's go.

 Thanks. You're so helpful.

 No problem. Where are you from?

 I'm from Australia.


be動詞も一般動詞も疑問詞で始まる疑問文も、すべて最初のセクションで登場してきますし、小学英語とは異なり、これらはすべて英文が書けることまでが要求されます。


ここまで述べてきた内容をご覧いただければ、小学英語の時点である程度の英文法の基本ルールを心得ておかないと、中学英語の出だしでつまずいてしまうリスクがあることがお分かりいただけるのではないでしょうか。

つまり、中学英語が始まるときには、すでに英語学力の二極化が起こっているということです。


小学生の内は英語は楽しく・興味を持って触れていればいいというのは一昔前の感覚で、今は読める・書ける・文として使えるという状態で中学校へ入学しないと大変なことになる場合があるということだけは念頭に置いておく必要があるのではないでしょうか。


その意味において、小学英語の重要性が以前よりも高まってきているのは間違いないことだと思います。

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